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数次相続の手続きはどう進める?遺産分割前に相続人が亡くなった場合の必要書類と協議の整理

数次相続の手続きはどう進める?遺産分割前に相続人が亡くなった場合の必要書類と協議の整理

父の相続について話し合っている途中で、相続人だった兄も亡くなった。このように相続が重なると、父の預貯金を誰が受け取るのか、兄の妻にも協議へ参加してもらうのか、どの人の戸籍を追加するのかが分かりにくくなります。

先の相続の手続きが終わらないうちに、その相続人が亡くなり、さらに相続が生じることを数次相続といいます。大切なのは、最初に亡くなった方の相続と、後から亡くなった方の相続を分けて整理することです。

この記事では、日本法による相続を前提に、遺産分割協議前の数次相続を中心として、当事者の確定、必要書類、協議書と金融機関への提出準備を説明します。遺言のあるケースや相続放棄を検討するケースでは、別途確認が必要です。

数次相続は死亡した順番から整理する

相続は死亡によって始まります。預金の払戻しや名義変更が済んでいなくても、相続人としての地位が生じていないわけではありません。相続人がその地位を持ったまま亡くなると、原則として、その方の相続人が地位を承継します。これは民法882条・896条などを前提とした整理です。

代襲相続との違い

父より先に長男が亡くなっていた場合には、長男の子が代襲相続人となることがあります。一方、父が亡くなった時点で長男が生存し、その後に亡くなった場合は、父の相続を受けた長男について次の相続が発生します。死亡の前後が変わると、協議へ参加する人も変わります。

確認する場面 整理の出発点
父の死亡前に長男が死亡 長男の子について代襲相続の要件を確認する
父の死亡後、協議前に長男が死亡 長男の相続人が、長男の地位を承継する関係を確認する
父の相続について、承認・放棄を選べる状態のまま長男が死亡 再転相続として、承認・放棄の選択や期間も検討する

同じ日に亡くなった場合にも、日付が同じという理由だけで順番を決めません。死亡の前後が明らかでない場合には同時死亡の推定が関係するため、戸籍だけで判断できなければ弁護士などに確認します。

最初に作るのは死亡順のメモです。各人の氏名、死亡日、最後の住所、最初の被相続人との続柄を並べます。さらに「遺言確認済み」「協議未成立」「銀行へ提出済み」などの進行状況を添えると、どこから調査を追加すべきかが見えます。

誰が遺産分割協議に参加するのかを確定する

数次相続では、最初の相続人一覧から亡くなった方の名前を削除するだけでは足りません。亡くなった相続人の戸籍をたどり、地位を承継した人を追加していきます。最初の被相続人と直接の血縁関係がない人が、協議の当事者となることもあります。

長男の妻と子が参加する例

父には長男と次男がおり、母は父より前に死亡していたとします。父の死亡後、遺産分割前に長男が亡くなり、長男には妻と子1人がいる例です。遺言・相続放棄等がなく、各相続を承認していることを前提にすると、父の遺産について協議するのは、次男、長男の妻、長男の子です。

当事者 父の遺産について参加する立場
次男 父の相続人として、自分の立場で参加する
長男の妻 長男の相続人として、長男が有していた地位を承継して参加する
長男の子 長男の相続人として、長男が有していた地位を承継して参加する

この例の法定相続分をたどると、父の相続では長男・次男が各2分の1です。長男の地位を妻と子が各2分の1ずつ承継するため、父の遺産を基準とした割合は次男が2分の1、長男の妻と子が各4分の1となります。これは相続関係を理解するための割合であり、個々の預金の最終的な取得額が必ずこの割合になるという意味ではありません。

長男に前婚の子がいる、認知した子がいる、養子縁組がある、といった事情も長男自身の相続人調査で確認します。「父の子は2人だけだから調査は済んだ」という状態から、調査対象が増える点に注意してください。

さらに別の相続人が亡くなっていれば、その人についても同じ作業を重ねます。世代数に合わせて調査を打ち切るのではなく、現在、協議に関与すべき人まで相続関係をつなぎます。

数次相続の手続きは二つの相続を並行して進める

最初の相続が未完了でも、後の相続の情報収集まで待つ必要はありません。一方の戸籍を集めながら他方の財産を整理するなど、相互に影響する点を把握して並行して準備します。協議の当事者が確定しないうちに、完成版の協議書へ押印を集めると、後でやり直しになりやすくなります。

段階 行うこと 確認の目的
死亡順と進行状況の整理 死亡日、遺言、過去の協議書、提出済みの書類を確認する 未分割の財産と、既に決まっている事項を区別する
相続人の確定 各被相続人の戸籍を確認し、放棄等の資料も集める 現在の協議当事者を漏れなく把握する
財産と期限の整理 財産目録を分け、税務・登記などの期限を確認する 別の遺産の混在や手続きの放置を防ぐ
提出先への事前確認 銀行等へ死亡順と相続関係を示す 協議書、所定用紙、追加戸籍の準備を合わせる
合意の書面化と実行 適切な当事者で協議し、内容に応じて署名・押印、払戻し等を行う 合意した取得先へ財産を引き継ぐ

連絡の窓口を1人に決めても、その人が他の相続人の分まで自由に合意できるわけではありません。資料の取りまとめ役、金融機関への手続代理人、遺産を取得する人は別の役割です。誰に何を任せたのかを明らかにして進めます。

会議に出席しない人も、必要な当事者であれば協議から外せません。連絡に返事がないことを同意と扱わず、住所確認や書面での連絡を行い、協議が進まない場合の相談先を検討します。

必要書類は被相続人ごとに分けて準備する

数次相続では、後から亡くなった相続人の死亡記載だけでなく、その方の相続人を確定するための戸籍も必要になります。大阪家庭裁判所の案内でも、相続人の死亡により相続関係が広がる場合は、亡くなった相続人の連続した戸籍等を追加する考え方が示されています。

資料 主に確認する内容 準備の注意点
最初の被相続人の戸籍・除籍・改製原戸籍 出生から死亡までの身分関係、最初の相続人 以前集めたものも不足がないか点検する
後から亡くなった相続人の戸籍等 その方の出生から死亡までの関係と、地位を承継する相続人 死亡事項だけの戸籍で終了しない
現在の相続人の戸籍等 各人の生存、続柄、現在の氏名 相続順位によって追加する親族の戸籍が異なる
住民票・戸籍の附票等 住所の確認、書類上の人物のつながり 必要な人と記載事項を提出先へ確認する
遺言書・過去の協議書・放棄の受理を証する資料 既に決まった取得関係や相続人から外れる人 最初の相続と後の相続のどちらの資料か明示する
協議書・印鑑証明書・金融機関の所定用紙 合意内容、押印、払戻しを受ける人 必要な署名者、原本、発行後の期間は提出先ごとに確認する

法定相続情報一覧図も亡くなった人ごとに考える

法定相続情報一覧図は、一人の被相続人を基準にした相続関係を証明するものです。父の一覧図だけで、後から亡くなった長男の相続人まで当然に証明できるわけではありません。必要に応じて長男を被相続人とする一覧図も作成し、相続関係をつなぎます。

また、一覧図には相続放棄が反映されません。戸籍の束を一覧図に置き換えた場合でも、放棄や遺言など別の事情を確認する資料は区別して準備します。一覧図を取得すれば、その後の戸籍提出がすべて不要になるとは限りません。

書類は「父の相続」「長男の相続」「両方で使う資料」に分け、原本の保管場所と提出先を記録すると整理しやすくなります。同じ戸籍で複数の関係が証明できる場合でも、提出先への原本提出・返却の扱いを確認してから必要部数を決めます。

財産目録と遺産分割協議書で二つの遺産を混ぜない

父名義の預金は、長男が後から亡くなったという理由で、全額が長男の遺産に変わるわけではありません。父の遺産について長男が有していた権利を引き継ぐ問題と、長男自身の預金や自動車を相続する問題を分けます。

財産目録には、名義人、財産の種類、口座や物件の特定情報、確認資料の日付を記載します。父の遺産のうち未分割のものは、その状態も分かるようにします。長男の相続財産の整理では、父の相続に関する未処理の権利があることを記録し、同じ財産を全額ずつ二重計上しないように確認します。

協議書を1通にするか、分けるか

二つの相続の協議書を必ず1通にまとめる、または必ず別々にするという形式だけで判断しません。重要なのは、誰の遺産について、どの立場の当事者が、誰に取得させると合意したのかを明確にすることです。

前述の例では、父の遺産の協議に次男が参加しても、次男が長男自身の遺産について当然に相続人となるわけではありません。一つの書面に二つの協議を記載する場合は、対象財産と当事者の違いを読み分けられる構成が必要です。別々の書面にする場合も、父の相続から長男の相続へどうつながるかを確認します。

亡くなった人を現在の署名者として記載したり、生前の日付に戻して押印した形を作ったりしないでください。過去に協議が成立していたという事情がある場合は、未成立の協議として書き直す前に、既存書類や合意の経緯を専門家へ示します。

銀行へは死亡順と書面案を先に伝える

金融機関には「口座名義人の相続人が、払戻し前に亡くなった」と具体的に伝えます。最初の相続について誰が承継するのか、所定用紙へ誰が署名するのか、二つの相続の戸籍が必要かを確認します。

三菱UFJ銀行の必要書類案内も、遺言書や協議書の有無により書類が異なり、事情によって追加資料が必要となることを示しています。一般的な書類一覧だけで数次相続の提出物を確定せず、押印を集める前に書面構成を相談すると手戻りを減らせます。

相続放棄・遺言・期限が関係するときの注意点

再転相続と相続放棄は個別に確認する

相続を承認するか放棄するか決めないまま相続人が死亡した場合は、再転相続の問題が生じます。単に協議書をまだ作っていなかったことと、相続を承認していないことは同じではありません。財産の処分や期間の経過等を踏まえた検討が必要です。

また、家族間で「何も受け取らない」と合意しただけの場合と、家庭裁判所で相続放棄の申述が受理された場合も異なります。どちらの相続を対象に、いつ、どの手続きをしたかを区別してください。承認・放棄の選択、期間の起算点、債務への対応は、弁護士等に早めに確認します。

遺言と税務・登記の期限を別に点検する

父と長男の両方について遺言の有無を確認します。遺言が指定する取得者や遺言執行者の存在によって、協議の要否や提出書類が変わります。遺言の意味や効力に争いがある場合は、行政書士が相手方との紛争を代理して解決することはできません。

相続税の申告が必要な場合、原則として相続の開始を知った日の翌日から10か月以内の申告・納税が必要です。国税庁の未分割財産に関する案内では、未分割であること自体では期限は延びないとされています。ただし、申告すべき人が期限前に未提出のまま死亡し、その義務を相続する場合には、申告期限の特則が関係します。誰の申告義務か、既に提出しているかによって確認が必要です。最後の死亡日を基準に全員の期限を一律にまとめず、税理士に確認してください。

不動産についても、数次相続が発生したから登記の期限が当然に延期されるとは考えないでください。古い名義が残る物件は、承継経路や申請方法を司法書士へ相談します。行政書士が相続登記の申請代理を行うことはできません。

全員の押印より先に解決すべき問題があります。未成年者とその親が同じ遺産の協議に参加する場合、判断能力に問題がある人がいる場合、住所調査をしても所在が分からない人がいる場合は、適切な代理や家庭裁判所の手続きを検討する必要があります。家族が便宜的に署名を代行せず、裁判所提出書類の作成は司法書士、家庭裁判所での手続代理は弁護士へ相談してください。

数次相続の手続きでよくある質問

父の相続中に兄が亡くなりました。兄の妻も参加しますか?

兄が父の相続人として有していた地位を、兄の妻が相続していれば参加する関係になります。妻だけでなく兄の子なども含め、兄自身の相続人を確定します。遺言や相続放棄の有無によっても整理が変わります。

数次相続は何代まで調べればよいですか?

一律に二代まで、三代までという区切りではありません。亡くなった相続人の地位を順にたどり、現在の協議に関与する人を確定できるところまで調べます。古い相続では適用法令も含めた確認が必要になるため、家系図だけで結論を出さないでください。

数次相続では銀行の預金を払い戻せなくなりますか?

数次相続という理由だけで手続きができなくなるわけではありません。現在の権利関係と取得者を明らかにし、銀行が求める資料を整えます。追加の戸籍や協議書の確認が必要になるため、死亡順を伝えて案内を受けてください。

二つの相続の遺産分割協議書は分けた方がよいですか?

相続人の組合せ、財産の取得関係、提出先の取扱いを見て決めます。一つにまとめる場合にも二つの協議の当事者と対象財産を明確にし、分ける場合には承継のつながりが分かるようにします。

相続人が増えた場合、一式プランの調査報酬も人数分増えますか?

当事務所の一式プランは15万円の固定料金(実費別)で、相続人調査は人数制限なしです。人数による調査報酬の加算はありません。財産が多い場合や対象範囲を超える場合の追加見積もり、実費等の扱いは、次の案内をご確認ください。

書類整理を行政書士に依頼する場合の対応範囲と料金

大倉行政書士事務所では、相続人調査・戸籍収集、相続財産調査、合意内容に基づく遺産分割協議書の作成、銀行・自動車の相続手続きなど、行政書士の業務範囲で支援します。相談時には、亡くなった方ごとの死亡日、分かる範囲の親族関係、手元の戸籍、遺言・協議書、財産資料を整理すると、必要な作業を確認しやすくなります。

相続手続き一式は15万円の固定料金(実費別)です。一式料金には、相続人調査・相続財産調査・戸籍収集・遺産分割協議書の作成、銀行・預貯金の相続手続き(全金融機関を合わせて3口座まで)、自動車の相続・名義変更(1台まで)を含みます。相続人調査は人数制限なしで、相続人の人数を理由とする調査報酬の加算はありません。

財産が多い場合や対象範囲を超える場合には、別途追加見積もりが必要になることがあります。追加費用は事前にご案内し、ご了承を得たうえで対応します。戸籍取得費・郵送費等の実費は別途です。

相続登記の申請代理は司法書士、税務申告は税理士、紛争の代理や家庭裁判所での手続代理は弁護士の担当分野です。裁判所提出書類の作成は司法書士に相談できる場合があります。これらの手続きは当事務所の一式プランに含まず、各専門家の報酬・実費も別途必要です。

相続手続き一式 15万円(固定料金)
(実費別)

  • 銀行・預貯金:全金融機関を合わせて3口座まで
  • 自動車の相続・名義変更:1台まで
  • 相続人調査:人数制限なし。相続人の人数にかかわらず対応
  • そのほか:相続財産調査・戸籍収集・遺産分割協議書の作成を含みます

財産が多い場合や上記の対象範囲を超える場合は、別途追加見積もりが必要になることがあります。追加費用は事前にご案内し、ご了承を得たうえで対応します。相続人の人数を理由とする調査報酬の加算はありません。

戸籍取得費・郵送費等の実費は別途です。相続登記など行政書士の業務範囲外の手続きは含まず、司法書士等の報酬・実費も別途必要です。

大倉行政書士事務所のご案内

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